自己PR動画の作り方|企業の評価担当が語る「通る動画」の条件【完全ガイド】
ライター
田中美咲(人事コンサルタント)
大手企業の人事部門で15年以上のキャリアを持つ。新卒採用から中途採用まで幅広い採用業務を経験し、現在は人事コンサルタントとして企業の採用戦略立案や面接官トレーニングを手がける。特に、応募者の潜在能力を見抜く面接技法に定評がある。
アプリを詳しく見てみる大手企業の人事部門で15年以上のキャリアを持つ。新卒採用から中途採用まで幅広い採用業務を経験し、現在は人事コンサルタントとして企業の採用戦略立案や面接官トレーニングを手がける。特に、応募者の潜在能力を見抜く面接技法に定評がある。
アプリを詳しく見てみる自己PR動画とは? ── なぜ今、動画選考が増えているのか
自己PR動画とは、就職・転職活動において自分の強みや人柄を映像で伝えるための短い動画です。企業のエントリー時に提出を求められるケースが増えており、2026年現在では新卒採用の約3社に1社が何らかの形で動画選考を取り入れています。
私たちV+ingは、60秒動画マッチングプラットフォームを運営しています。日々、求職者の方が撮影した自己PR動画を、企業の採用担当者がどう見ているかを間近で見てきました。だからこそ断言できることがあります。
「自己PR動画の出来は、内容の良さだけでは決まらない」ということです。
もう少し正確に言うと、内容(何を話すか)は当然重要ですが、それと同じくらい「伝え方」「見え方」「構成」が評価に影響します。V+ingのデータでは、同じような経験を語っていても、撮影環境と構成が整っている動画は、そうでない動画に比べて企業の「お気に入り登録率」が2.1倍という結果が出ています。
この記事では、自己PR動画を作るための6ステップを、企業側の評価視点を交えながら解説します。
STEP 1:動画の目的とゴールを明確にする
撮影を始める前に、まず考えるべきは「この動画で何を伝えたいか」です。当たり前に聞こえるかもしれませんが、V+ingに提出される動画の約35%が「結局、何を伝えたいのか分からない」という評価を受けています。
自己PR動画のゴールは、シンプルに言えば「この人と面接で話してみたい」と思わせることです。すべてを伝える必要はありません。むしろ、1つの強みに絞って深く語るほうが、印象に残ります。
強みの選び方のフレームワーク
- 再現性があるか:その強みは入社後も発揮できるものか?
- エピソードがあるか:具体的な経験で裏付けられるか?
- 差別化できるか:他の候補者と同じ話になっていないか?
「リーダーシップ」「コミュニケーション能力」「協調性」── これらは最も多い自己PRのテーマですが、それだけに埋もれやすいのも事実です。もし同じテーマで語るなら、エピソードの具体性で差をつけましょう。
STEP 2:PREP法で構成を組み立てる
動画の構成は、PREP法(Point→Reason→Example→Point)が鉄板です。特に60秒〜1分の短い動画では、この構成から外れると「何が言いたいか分からない」動画になりがちです。
「PREP法で話す人の動画は、15秒くらいで『あ、この人ちゃんと準備してるな』と分かります。逆に時系列で話す人は、30秒経っても結論が見えなくて、途中で止めてしまうことがあります」── 人材系企業 採用担当
1分の動画で使える台本テンプレートをもっと見たい方は、自己PR動画1分の台本テンプレート|例文20選をご覧ください。
STEP 3:撮影環境を整える(スマホでOK)
「自己PR動画ってカメラとか必要ですか?」とよく聞かれますが、スマホで十分です。V+ingで高評価を受けている動画の約80%がスマホ撮影です。大事なのはカメラの性能ではなく、撮影環境の整え方です。
最低限やるべき撮影セットアップ
| 項目 | 推奨 | NG例 |
|---|---|---|
| カメラの高さ | 目線の高さ(本やボックスでスマホを底上げ) | 机に置いて下から煽る(二重顎に見える) |
| 距離 | 胸から上が映る距離(50〜70cm) | 顔だけアップ(圧迫感)・全身(遠すぎて表情が見えない) |
| 照明 | 顔の正面やや上からの光。窓際の自然光がベスト | 逆光(顔が真っ暗)・蛍光灯の真下(影が強い) |
| 背景 | 白壁・無地のカーテン・バーチャル背景 | 散らかった部屋・ポスター・洗濯物 |
| 音声 | 静かな部屋で撮影。イヤホンマイク使用も可 | カフェ・屋外(環境音が入る) |
| スマホの向き | 縦撮影(V+ing)/横撮影(企業指定による) | 指定と逆の向き |
100均で揃う最強セット:スマホスタンド(100円)、白い画用紙(レフ板代わり、100円)、クリップ式リングライト(300円〜)。合計500円で撮影環境が劇的に変わります。
STEP 4:リハーサルを3回以上行う
台本ができたら、必ずリハーサルを行ってください。ここで重要なのは、「リハーサル = 本番のつもりで実際に撮影する」ということです。頭の中でシミュレーションするだけでは不十分です。
V+ingのデータでは、提出前にリハーサルを3回以上行ったと回答した求職者の動画は、1回以下の人に比べて通過率が約1.8倍でした。理由は単純で、回数を重ねるほど「棒読み感」が消え、自然な話し方になるからです。
リハーサルのチェックポイント
- 時間:制限時間の80〜95%に収まっているか
- 目線:カメラのレンズを見ているか(画面の自分の顔を見ていないか)
- 表情:自然な笑顔があるか(ずっと真顔になっていないか)
- 声のスピード:早口になっていないか。1分間で300〜350文字が目安
- 身振り手振り:適度にあるか(多すぎず、まったくないのもNG)
リハーサル動画を撮ったら、自分で見返すだけでなく、友人や家族にも見てもらうことを強くおすすめします。自分では気づかない癖(語尾が「〜ですね」ばかり、体が揺れている等)は、他人の目で初めて分かることが多いです。
STEP 5:「通る動画」と「落ちる動画」の決定的な違い
ここが、V+ingだからこそ書ける部分です。プラットフォーム上で日々動画を見ていると、「惜しい動画」と「通る動画」の差は、実は紙一重であることが分かります。
Before(落ちやすい動画の例)
「えーと、はじめまして。○○大学の○○です。えー、私は大学時代にサークル活動を頑張りました。テニスサークルに入っていて、最初はあまり上手くなかったんですけど、練習を頑張って、えー、最終的には部内の大会で優勝することができました。この経験から努力の大切さを学びました。よろしくお願いします。」
問題点:フィラーが多い/結論が最後/「努力の大切さ」は抽象的すぎる/入社後の展望がない
After(通過率が高い動画の例)
「はじめまして、○○大学の○○です。私の強みは、チームの課題を分析して、改善策を実行する力です。大学のテニスサークルで、部員の退部率が年30%という課題がありました。私は部員20名に個別ヒアリングを行い、練習メニューの画一性が原因だと特定。レベル別の3コース制を提案・導入した結果、退部率を8%まで改善できました。この『課題発見→仮説検証→実行』のプロセスを、御社のマーケティング部門でも活かしたいと考えています。」
評価ポイント:冒頭で結論を明示/具体的な数字(30%→8%)/行動プロセスが明確/入社後の展望がある
「数字がある動画は、それだけで説得力が違います。『頑張りました』ではなく『30%を8%に改善しました』。これだけで面接で聞きたいことが3つくらい浮かびます」── 大手メーカー 採用担当
STEP 6:撮影・提出時の最終チェック
- PREP法の構成になっているか
- 制限時間の80〜95%に収まっているか
- 冒頭5秒で名前と強みを言えているか
- 具体的な数字が最低1つ入っているか
- 入社後の展望で締めくくっているか
- 背景・照明・音声に問題はないか
- 目線がカメラのレンズに向いているか
- 指定されたファイル形式・サイズに合っているか
- 提出期限まで余裕があるか(直前の焦りは品質を下げる)
よくある質問(FAQ)
Q. 自己PR動画はどのくらいの長さがベストですか?
A. 企業の指定に従うのが基本です。指定がない場合は60秒がおすすめです。V+ingでは60秒を標準としていますが、これは「伝えるべき情報量」と「採用担当者の集中力」のバランスが最も取れる長さです。
Q. 自撮りと誰かに撮ってもらうの、どちらがいいですか?
A. 自撮り(インカメラ)で問題ありません。ただし、必ずスマホスタンドを使ってください。手持ち撮影は画面がブレるのでNGです。誰かに撮ってもらう場合は、指示を明確に伝えてブレや画角のズレを防いでください。
Q. 編集(テロップやBGM)は入れたほうがいいですか?
A. 基本的には不要です。企業が見たいのは「あなた自身」であって、編集スキルではありません。ただし、企業が「自由な形式で」と指定している場合は、簡単なテロップ(名前・強み)程度なら好印象になることもあります。過剰な演出は逆効果です。
Q. V+ing以外の録画面接ツールでも使えるアドバイスですか?
A. はい。この記事で解説した6ステップは、harutaka・HireVue・JOBRASS等、どの録画面接ツールでも共通して使えます。各ツールの違いについては、録画面接の完全対策ガイドで詳しく解説しています。