制作会社の案件管理ツール8選を実務目線で比較|見積から請求までつながるのはどれか

✔ 結論

制作会社の案件管理ツールは、タスク機能の比較では選べません。差が出るのは「見積から請求まで案件単位でつながるか」と「外注パートナーにクライアント名・金額を隠せるか」の2点です。この2点を標準機能で満たすのは、2026年9月に8ツールの公式情報を確認した範囲ではTASKUL(月980円・無料プランあり)だけでした。本文で全ツールの根拠を示します。

📖 この記事はこんな人におすすめ

  • 並行案件が増えて、進行と請求の管理が回らなくなってきた制作会社の方
  • 見積書・請求書をExcelで作っていて、転記ミスや請求漏れが起きている方
  • 外注デザイナー・エンジニアに、クライアント名や金額を見せずに案件を共有したい方
  • BacklogやNotionを使っているが、お金の管理が外側に残っている方

制作会社の案件管理がうまくいかない原因は、ツールの機能不足ではありません。タスク管理はBacklog、見積書はExcel、請求書は会計ソフト、外注パートナーへの依頼はチャット――と、ひとつの案件の情報が4つの場所に割れていることです。

案件が月3件のうちは、この分業でも頭の中でつながっています。月10件を超えると、追加対応の請求し忘れ、外注費を引いたら赤字だった案件、パートナーへの共有漏れが必ず起き始めます。ツールを探し始めるのは大抵このタイミングです。

この記事では、制作会社が実際に選択肢に挙げる8つのツールを、受託業務ならではの2軸を含めて比較します。料金・機能はすべて2026年9月時点の各社公式サイトで確認したものです。

なお、本記事の執筆にはTASKULの運営に携わるメンバーが関わっています。その分、TASKULを含む全ツールの機能の有無は公式情報だけを根拠に書きます。

Index
  1. 制作会社の案件管理ツール選びは、何から決めればいい?
  2. 8ツールの比較表(2026年9月・各社公式サイト調べ)
  3. 外注3人と使ったら月額はいくらになる?
  4. なぜ「見積から請求までつながる」ことが重要なのか?
  5. 外注パートナーにクライアント名を見せていいのか?
  6. 各ツールの実務評価
  7. 移行はどう進めればいい?
  8. ツール選びのよくある失敗
  9. よくある質問
  10. まとめ
  11. 参考(2026年9月22日時点の公式情報)

制作会社の案件管理ツール選びは、何から決めればいい?

先に結論を書くと、決める順番は次の3つです。

  1. 案件のお金(見積・請求)までツール内で扱いたいか ―― ここで候補が大きく割れます。タスク管理特化のツールに、後からお金の管理を足すことはできません
  2. 外注パートナーと一緒に使うか ―― 使うなら、パートナーに「クライアント名」「案件金額」を見せない設定ができるかを必ず確認します
  3. 月額をいくらまで払えるか ―― ユーザー数課金のツールは、外注パートナーを招待するたびに月額が増えていく点に注意が必要です

タスクの進捗管理だけならどのツールでも十分にできます。差が出るのは受託業務特有の部分、つまりお金と社外パートナーの扱いです。

逆に、この記事を読む必要がない会社もあります。自社サービス開発が中心で受託のお金が発生しない会社、または請求業務を経理チームが完全に分業している会社です。その場合はタスク管理の使いやすさだけで選んで問題ありません。

8ツールの比較表(2026年9月・各社公式サイト調べ)

ツール 最安有料プラン 無料プラン 見積書・請求書 外部ゲストへの情報制御 公式MCP
TASKUL 980円/月(1ユーザー) あり(案件10件まで) ○ 標準機能・無料プランから ○ クライアント名・金額を非表示(標準) ベータ提供中
Backlog 2,700円/月(定額制) なし(30日試用のみ) ×(顧客向け発行機能なし) △ ゲスト権限3段階 ○
Asana 1,200円/ユーザー/月(年払い) あり(2人まで) ×(公式に記載なし) △ 項目非表示はEnterprise限定 ○
Notion 1,650円/月(年払い) あり △ テンプレートで自作 △ ページ単位の権限のみ ○
monday.com 1,300円/ユーザー/月(年払い) あり(2人まで) ○(旧版廃止予定の記載あり) △ ボード権限で制御 ○
Jooto 417円/ユーザー/月(年契約) あり(1人) ×(公式に記載なし) △ ゲスト権限のみ ○
Wrike $10/ユーザー/月 あり △ 請求書発行は外部会計ソフト連携 △ 細かい制御は上位プラン ○
ClickUp $7/ユーザー/月(年払い) あり ×(公式に記載なし) △ 項目非表示はBusiness Plus以上 ○(ベータ)

表から読み取れることは2つです。

1つ目。見積書・請求書を標準機能として持つツールがほとんどありません。 明確に持っているのはmonday.comとTASKULだけで、monday.comは公式ヘルプに現行機能の廃止予定が記載されています。他は「テンプレートで自作」か「外部の会計ソフトへ連携」が前提です。

2つ目。外部ゲストから情報を隠す機能は、多くのツールで上位プラン限定です。 Asanaは項目の非表示がEnterpriseプラン限定、ClickUpはBusiness Plus以上。制作会社が一番隠したい「クライアント名と金額」を無料〜最安プランで隠せるのは、比較した中ではTASKULだけでした。

外注3人と使ったら月額はいくらになる?

制作会社の実態に近い「ディレクター1人+外注パートナー3人」を全員ツールに入れた場合で計算します(年払い基準・2026年9月公式価格)。

  • TASKUL: 980円/月 ―― パートナー招待は人数に関係なく追加費用なし
  • Jooto: 417円 × 4人 = 1,668円/月
  • Asana: 1,200円 × 4人 = 4,800円/月
  • monday.com: 1,300円 × 4人 = 5,200円/月
  • Backlog: 2,700円/月の定額制(プランごとに人数上限あり・詳細は公式参照)

金額だけならJootoも安く見えますが、Jootoには見積書・請求書機能の記載がないため、書類作成の別ツール代と転記の手間が外側に残ります。「ツールの月額」ではなく「案件1件を請求まで終わらせる総コスト」で見るのが実務的です。

もうひとつ見落としがちなのが、外注パートナーの入れ替わりです。制作会社のパートナーは案件ごとに変わるため、ユーザー数課金のツールでは「今月だけ参加するデザイナーのために1席追加して、来月解約する」という管理業務そのものが発生します。

なぜ「見積から請求までつながる」ことが重要なのか?

進行とお金が別ツールだと、案件が終わるたびに転記が発生します。見積の内容を思い出しながら請求書を作り直し、追加対応分を請求し忘れ、どの案件が儲かったのか分からないまま次の見積を出す――この繰り返しです。

案件単位でつながっていると、こうなります。

  • 見積書に書いた項目が、そのまま案件のタスクと請求書の明細になる。転記も請求漏れもなくなる
  • 案件ごとに「もらうお金(請求)と払うお金(外注費)」が並ぶので、どの案件で利益が出ているかが一覧で見える
  • 過去の類似案件の見積をコピーして次の見積が作れるので、見積作成が数分で終わる

特に効いてくるのが追加対応の扱いです。制作案件では「ついでにこのバナーも」「この文言も直して」という小さな追加が必ず発生します。タスクと見積が別ツールだと、この追加分は高確率で無償対応に消えます。タスクを起こした場所がそのまま請求明細につながっていれば、追加分は自動的に請求候補として残ります。

TASKULはこの「クライアント→案件→見積→タスク→請求」の一気通貫を設計の中心に置いたツールで、無料プランの時点で見積書・請求書の作成まで使えます。

外注パートナーにクライアント名を見せていいのか?

制作会社の実務では、デザイナーやエンジニアなど社外パートナーを案件に招待する場面が必ずあります。このとき一般的なツールでは、プロジェクトに招待した人は案件情報を基本的に全部見られます。つまりエンドクライアントの社名も、案件の金額も見える状態です。

これには3つのリスクがあります。

  1. 直接取引: パートナーとエンドクライアントがつながり、次の案件から自社を通さなくなる
  2. NDA違反: クライアントとの契約で社名・案件内容の第三者開示自体が禁止されているケース。ツールに招待しただけで形式上の違反になり得ます
  3. 金額の逆算: 案件金額が見えると、パートナーは自分の外注費との差額=発注側の粗利を正確に知ることになります。次回の単価交渉の材料を渡しているのと同じです

比較表の通り、項目単位の非表示は多くのツールで上位プラン限定です。Asanaならエンタープライズ契約、ClickUpならBusiness Plus以上が必要で、小規模な制作会社にとって現実的ではありません。

TASKULはここが標準機能で、パートナーを案件に招待するとプロジェクト名・担当タスク・納期だけが共有され、クライアント名と金額は最初から見えない設計になっています。プロジェクト名も「美容系LP案件」のように自由に付けられるため、社名を伏せたまま進行できます。外注を多用する制作会社にとっては、この1点だけでも選ぶ理由になります。

各ツールの実務評価

TASKUL ―― 外注込みで複数案件を回す制作会社の第一候補

クライアントワーク特化という設計がそのまま強みです。クライアント・案件・見積書・タスク・請求書が1本につながり、パートナー招待時の情報制御が標準。1ユーザー980円/月でユーザー数課金ではないため、外注が増えても月額が変わりません。AI機能(依頼文からの案件・タスク生成)とMCP連携(ベータ)も持っています。弱点は、社内の大人数での同時利用やガントチャート中心の重厚な進行管理には向かないこと。大規模開発の課題管理はBacklogに分があります。

Backlog ―― 開発案件の課題管理では定番。お金は別ツール前提

Git連携・課題管理の完成度は国産ツールで随一です。定額制なので人数が多い開発チームではむしろ割安になります。一方で顧客向けの見積書・請求書機能はなく、無料プランもないため、小規模制作会社が「案件管理」の意図で選ぶとお金の管理が丸ごと外側に残ります。

Asana ―― 社内プロジェクトの横断管理が本領

公式の想定ユーザーも「小規模チームやプロフェッショナル」で、部署をまたぐ社内プロジェクト管理が得意分野です。受託の文脈では、項目非表示がEnterprise限定という一点が制作会社にとって重く、外注込み運用のハードルになります。

Notion ―― 自由度最大。仕組みを自作できる人がいるなら強い

データベース機能で案件管理・見積管理を自作でき、公式テンプレートも豊富です。ただし見積書・請求書は「テンプレートを複製して自作」であり、案件・タスク・請求の自動連携は自分で設計する必要があります。作れる人が社内にいるかどうかで評価が180度変わるツールです。

monday.com ―― 営業パイプラインと一体で見たい会社向け

見積書・請求書アプリを持つ数少ない汎用ツールですが、公式ヘルプに旧版廃止予定の記載があり、機能の先行きは公式情報の確認が必要です。3ユーザー分からの課金のため、1人で始めるには割高です。

Jooto ―― 最安でカンバン管理を始めたい少人数チーム向け

417円/ユーザー/月という価格は魅力で、2026年5月には公式MCPも公開されました。見積書・請求書機能の記載はないため、お金の管理は別ツールとの併用が前提です。

Wrike / ClickUp ―― 多機能を使い倒せるチーム向け

どちらも機能の幅は圧倒的ですが、日本語情報が少なく料金もドル建てです。請求書はWrikeが外部会計ソフト連携前提、ClickUpは機能自体の記載がありません。英語ドキュメントを読めるチームなら候補になります。

移行はどう進めればいい?

ツールを一気に切り替えると必ず現場が混乱します。制作会社での現実的な手順は次の通りです。

  1. 新規案件1件だけを新ツールで回す(既存案件は移さない)。見積作成→タスク化→請求書発行まで1サイクル通す
  2. 請求書発行までの手数を旧運用と比べる。転記が消えたか、追加対応分が請求に乗ったかを確認する
  3. 問題なければ翌月の新規案件から全部新ツールに寄せる。既存案件は完了まで旧ツールで看取る
  4. 外注パートナーの招待は2ヶ月目から。自社の運用が固まる前にパートナーを入れると、共有ルールの変更を何度も通知することになります

無料プランのあるツール(TASKUL・Asana・Notion・Jooto等)なら、手順1〜2は費用ゼロで試せます。

ツール選びのよくある失敗

  • 機能一覧の◯×だけで選ぶ: 「請求書機能あり」でも、案件・タスクとつながっていなければExcelと手間は変わりません。1案件を通しで試して確認するのが確実です
  • 社内利用の前提で選び、外注展開でつまずく: 後からパートナーを招待した段階で「金額が見える」「席の追加費用がかかる」ことに気づくパターン。最初に外注込みの月額と権限を確認します
  • 高機能ツールを入れて設定で挫折する: 多機能ツールほど初期設計が必要です。専任の管理者を置けない規模なら、最初から受託業務の形にはまっているツールのほうが立ち上がりが速くなります

よくある質問

制作会社の案件管理はExcelやスプレッドシートでは駄目?

案件が月5件を超えたあたりで、更新漏れと属人化が起きます。特に見積・請求とタスクを別シートで管理すると転記ミスが避けられないため、案件数が増える前にツールへ移すのが安全です。

案件管理ツールとプロジェクト管理ツールは何が違う?

プロジェクト管理はタスクと進捗が中心、案件管理はそこにクライアント・見積・請求というお金の情報が加わります。受託業務なら「案件管理」まで扱えるツールを選ぶ必要があります。

無料プランだけでどこまで運用できる?

TASKULの無料プランは案件10件まで・見積書と請求書の作成込みで使えます。並行案件が常時10件を超えるまでは無料で十分です。AsanaやNotionの無料プランはタスク管理としては使えますが、見積・請求は範囲外です。

外注パートナーにも利用料はかかる?

ツールによります。ユーザー数課金のツール(Asana・monday.com・Jooto等)は招待人数分の月額が増えます。TASKULはパートナー招待に追加費用がかかりません。

会計ソフト(freee・マネーフォワード等)があれば請求書機能は不要?

請求書の発行自体は会計ソフトでできます。問題は、会計ソフトは案件・タスクを知らないため、「どの作業分をいくら請求するか」の集計と転記が毎月手作業で残ることです。案件側に請求書機能があると、この集計が消えます。

インボイス制度・電子帳簿保存法には対応している?

書類の法対応要件は各ツールの最新の公式情報で確認してください。本記事は案件管理の観点の比較のため、税務要件の適合判断は税理士・各社サポートへの確認をおすすめします。

AI連携(MCP)は選定基準になる?

2026年時点では主要ツールのほぼ全てが公式MCPサーバーを提供済みのため、対応の有無だけでは差がつきません。自社のAI活用の形に合うかで見てください。TASKULもMCP連携をベータ提供中です。

チームが5人以上でも1ユーザー課金のツールでいい?

社内メンバー全員がタスクを日常的に更新するなら、ユーザー数課金ツールの席数分の価値はあります。「進行管理はディレクター1人、他は見るだけ」という制作会社の典型的な形なら、定額または1ユーザー課金のツールのほうが構造的に安くなります。

まとめ

制作会社の案件管理ツールは、「タスクが管理できるか」ではなく「見積から請求までのお金と、社外パートナーの扱いをどう設計しているか」で選ぶと失敗しません。

まずは現在の案件を1件、案件管理ツールTASKULの無料プランに入れて、見積書作成から請求書発行までの流れを試してみてください。自社の業務と合うかは1案件通せば分かります。

本記事の執筆にはTASKULの運営に携わるメンバーが関わっています。比較の公平性のため、全ツールの機能・料金は各社公式サイトの記載のみを根拠としています。

参考(2026年9月22日時点の公式情報)